Sunday indulgence in sweet pancakes.

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パンケーキを自分で焼くようになったのは、いつからだろう。

子供の頃は、週末のごちそうだった。ママの焼く、ふかふかの、ホットケーキ。

足元にいつもまとわりついて、その手順を眺めていた。魔法のような、手さばき。
鉄のフライパンを熱くして、濡れ布巾の上にじゅうううっとする。生地を丸く流して、ごく弱い火にかける。周りがもったりと立ち上げって、ぷつ、ぷつ、ぷつ。気泡が沸いて、ケーキの表面に、たくさん穴をあけるのが、とくべつにおもしろい。表面が少し乾いたみたいになったら、ひっくり返す。小さな妹と、顔をくっつけあって、息を飲んで眺める。

お皿にふっくらと重なった、ホットケーキ。たっぷりのバター、メープルシロップの金色。甘く、優しい思い出。

アラスカでホームステイをしていた時、日曜日の礼拝の後はいつも、ホストファーザーがパンケーキを焼いてくれた。
まずは、娘たちみんなで庭に出て、ブルーベリーやラズベリーを摘む。それは儀式みたいに。
でも、生地はお手軽に(アメリカらしく)、洗濯洗剤みたいなパッケージのパンケーキ・ミクスに、直接ミルクを入れてしゃかしゃか振ったら出来上がり。熱いグリドルに、小さく丸く流す。家族みんなの分、たくさんたくさん焼いて、家中がブルーベリーのいい香り。
みんなでお祈りして、仲良く食べる。あたたかな思い出。

こんなふうに、パンケーキの思い出は、甘やかされた金色の、優しい思い出。

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あれから何年も経って、自分で焼く、パンケーキ。
たくさんの国で生活してゆく中で覚えた、いろんなおうちの味。

イギリス風のは、クレープみたいに焼く。レモンとお砂糖をぎゅっと絞って。イースターの46日前、レント節が始まる前日に食べるのは、必ずこれ。春の匂い。インドネシアのは、マルタバック。ジャカルタで、夕方になると出てくる屋台。友達と並んで、夕方のおやつに、よく買った。ちょっと油多めの、かりかり。私はいつも、バナナをいれてもらう。タイやマレーシアでは、屋台の味。ロティ、という名前で、インド系の人が売っているから、インドが起源らしい。たっぷりかかった、甘いコンデンスミルク。ロシアのは、イースト発酵でふくらませる、ブリヌィ。たっぷりのスメタナ(サワークリーム)を添えて、黒や赤のイクラをのせるのは、ごちそう。オランダの、パネクッケンは、薄く大きくフライパンいっぱいに伸ばす。りんごの薄切りと、シナモンとパウダー・シュガーでお化粧して。

こんなふうに、世界各地で過ごした思い出が、さらさらと湧いてきて、きゅんとなる。粉と水と卵、シンプルな材料だから、どんな場所にもあって、それでいて、その場所、その場所、独特のかたちをしている。

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今朝、私が焼いたパンケーキは、ヴィーガン・ヴァージョン。卵も牛乳も使わないレシピ。それでもちゃんとふわふわで、香ばしい焼き上がり。それにマカデミア・ナッツで作ったクリームを添える。

レシピ、と言ってもだいたい目分量なのだけれども。

浸水させたアーモンドひとつかみと水200ccをブレンダーにかけてなめらかにしておく(濾さなくてもよい)。全粒粉150gとベーキングパウダー小さじ1をボウルに入れ、アーモンドミルク、ココナッツオイル大さじ2、砂糖大さじ2、ヴァニラエクストラクト少しと塩ひとつまみを加えてよく混ぜる。熱くしたフライパンで、小さく焼いて、だいたい10枚位できる。

ぽってりとのせた、マカデミア・ナッツクリームは、マカデミア・ナッツ100gにメイプル・シロップ大さじ1、ココナッツオイル小さじ1に水100ccを加えて、ひとつまみの塩とヴァニラエクストラクト少しを入れ、ブレンダーでクリーム状にする。これはたくさんできるので、果物に添えてパフェにしたりするといい。濃厚な、おいしいクリーム。

パンケーキの焼ける匂いで、彼がいそいそとダイニングに出てくる(彼はパンケーキが大好きだ)。そして日曜日らしい気分がするね、と言う。私は、そのとおりだと思う。そんな幸福。

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