My emotional farewell to the formidable Sakura blossoms.

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今年の桜は、雨の中だった。
桜流しの雨。

溢れるように咲く満開の桜は、その花びらを散らす前に、ほんのりとその芯を赤く染める。
艶めかしく仄明るいその花芯。

その樹の下で、雪のように散る花弁を、ずっと見ていた。

日本に帰ってきて、5度目の桜。
アーモンドの樹の下で、ジャカランダの青の花の下で、あんなにも恋しく思ったこの姿。

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告白すると、私は長いこと、桜の花はあまり好きではなかった。
桜、というより、ソメイヨシノが。

私の生まれ育った土地では、ソメイヨシノは咲かなかった。
大きな桃色の花の咲く、エゾヤマザクラは、より生きものとしてどっしりとした安定感を見せる。
花の姿も、花と一緒に萌え出る緑の葉も、春の景色の一つとして、チューリップやライラックや菜の花やたんぽぽと一緒に、のびやかに桃色に彩る。

けれどもソメイヨシノは、全然違っている。
まるで枯れているかのように見える木々の枝に、圧倒的な量感を持って、たわわに咲き誇る、淡く白くひかるような花弁。
そしてそれが、零れるように一斉に散るのだ。

そんな景色に、私の心が奪われて、離れられない。
そのうつくしさは、柔らかく繊細な花弁の、ほんの束の間のはかなさと、強く結びついたのもの。
華やかに溢れるほどの美と、その早急な死。

それはそれはおそろしい。
きれい、きれい。

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学生だった頃、私は、染井霊園を通って、毎日通学していた。
入学したのは、折しも、満開の桜の下。
足元には、たくさんの人々の、白い骨。

思い出した。

前回来たのは、すこぶる体調の悪い年だった。
私は、花見をする元気もなかったので、車でこの桜並木の下を、何度も通ってくれた。
ルーフの窓を開け放って、何度も何度も見上げた空。

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来年はどこでこの春の空を見上げるのだろう。

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