The wicked witch of the east meets west.

場所は、ハーグの大きな森の近くの静かな住宅街。
オランダらしい佇まいのお宅は、扉を開けると、もうすでに華やかな花の香りが漂う。開け放った窓には、さっぱりとした白いカーテンが揺れて、夏の風を運んでいた。

瞳実さんのアロマテラピーのWSでは、まず100種類くらいの精油の香りをめいめい嗅いで、好きな香りや今の気分に合った香りを選んでゆく。私たちは、生理の時や体調によって、好きと感じる香りが異なってくるという。そういう女性ならではの感覚は、すとんと私の中に消化されて溶けてゆく。そう、ここは楽しい魔女の会。

アルコールに植物の力を閉じ込めた、瞳実さんの手作りのチンクチャー(チンキ)は、世界各地で集めた彼女の思い出が詰まっている。

バリ島のプルメリアのお花を集めたもの。あの島のうつくしい花は、小壜の中でまだ高貴な香りを保っている。(余談だけれど、ジャワ島にいた私にとっては、プルメリアは葬送の花。皆で見送った優しいひとを思い出す。)びわの葉は日本の里山の景色。南仏のローズマリー。台湾のジャスミン。並んだ小壜のひとつひとつに、物語がある。それは私が彼女のサロンをこよなく愛している理由。

だから私も、自分の思い出を、大切な物語を、毎回そっと持ち寄ることにしている。

私の物語は、ルワンダに住んでいた頃の思い出の香り。
あの虐殺の後の和解プロジェクトとして、シングルマザーのお母さんたちや、孤児となった子どもたちの小さな農家を支援して、オーガニックで草花を育ててエッセンシャルオイルを作るikireziというコペラティブのお手伝いをしていた。
アフリカの土壌で、すくすくと育ったレモングラス、乾燥した大地にしっかりと根付くユーカリ、はなやかなゼラニウム、可憐なパーチュリ。
香りの記憶が連れてくるのは、懐かしい懐かしい、あのみんなの面影。

そんな、瞳実さんの魔女の薬壜が羨ましくて、私もヨーロッパらしいハーブを詰めて、チンクチャーを仕込む。まだ、どこのbos(森)でお花を摘んでよいのかわからないので(土壌が安全で排気ガスがかかっていなくて、そして持続性があって誰にも迷惑をかけない場所を探している)、オーガニックの農場で採れたハーブティーを使う。飲用なので安全だし、乾燥する手間がなくて、楽ちん。今回は、カレンデュラ、エルダーフラワー、そしてヨーロッパで古くから薬用に使われてきたイラクサの仲間のネトル。

作り方は簡単。
消毒したガラス壜に、乾燥したハーブをたっぷり詰めて、35度以上のウォッカを注ぐ。
毎日、ぱしゃぱしゃと壜を振って眺めて、私はお祈りの言葉と小さな歌をこめる。
この毎朝の小さな儀式を教えてくれたのは、オランダ人のヒーラーの友人。

私はここの私の物語を、この小さな壜に詰めるのだ。

 

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瞳実さんのweb siteはこちら
http://hitomiarai.info/

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